自分が自分であるために

異国の地で流れるきみがよに、眠気を我慢した甲斐があったと
思うホンダの勝利ではあるが
皇帝ミハエルへ、散々負けろと思い続けてきたのに
金も名誉も手にしても、左うちわを持たずハンドルを握る彼の走りは
密かに感動する。
プライドやモチベーションなどと単語を並べただけではすまない
敵は昨日までの自分と言わんばかりの情念。
午前三時のルースター
新刊だす度につまらなくなるという一部のレビューには
首をひねりたくなるものの、著者の基本スタンスが
全部詰まっている感じのこのデビュー作を最後に読むと
そう言いたくなる気持ちは理解出来る程面白かった。
自分を越えていくのは大変なことである。