AN OUTSIDER’S DEATH

犬と散歩していて、
ごくたまに片目のジャックと勝手に呼んでいる猫に逢う。
おそらくケンカして、そうなったのだと思うが
左目にはキズが入っていて潰れて開かない。
2年前の夏は、
子猫といっしょにいたので
メスだったのかと思ったが、今更片目のダイアナとかジェーンとか呼べない。
昨年の夏は
また一人だったので
子猫は独立したのか、亡くなってしまったのだろうと思った。
秋に逢った時には
こちらを見たまま動かず
おやつをあげてみたが、それでも反応しないので
おそらくもう死期が近いのだと思った。


裁判沙汰にもなるくらいだし
自然の摂理に反するのか
のら猫にエサをあげるのを社会は良しとしない。
半端な情けはかえってよくないのかもしれない。
わかってはいるが、犬との散歩用のバックには
猫用のおやつを忍ばせて、逢った時には
それを置いてあげる。
それは優しさなんかと対極にある、残酷な行為なのかもしれない。
見過ごすことも、見届けることも出来ないのだから。


日曜日
久々に再会し、よかったまだ生きていたんだと
おやつを置いてあげたら、脇目もふらず食いついた。
今までなら、僕らが離れるのを待ってから食べ始めていたのに
よっぽどお腹がすいていたのだろうか。
食欲があるなら今冬も乗り越えるかもしれない。

或るろくでなしの死
この本を読んでいる間ずっと
片目のジャックのことが頭の中をよぎっていた。
読後感とジャックとの距離感が同じ気がする。

銭は貯め方を間違えると一緒に恨みも溜める