モンスター製造過程

「ろくに本も読んでいないのに、古代ドイツの伝承なんて知るわけないです。
でも、聞くと興味深いですね。
伝説上の存在アルラウネ、あるいはマンドレイク
無実の罪を負わされて、絞首刑になった童貞男。
吊された男が漏らした精液が地面に落ちた場所に生える、人型の植物」

耳をふさいで夜を走る
いつもながら石持ワールドの最大の特徴である
そこまで暴走するほどの強烈な動機なのか?
結局犯人は捕まらないではないか?
といったところは好き嫌いがはっきり別れる境界だと思うが
流れ方は誠実だし毎度66生まれの代表として天才だとは思うw
特にこの作品は
甘美なエロティックと残酷さの一体化した様な描写には
息を止めて読むことになるであろう
人間は生まれてからしてはいけないということを
当たり前の様に擦り込まれていると、ほとんどの場合理性で
押さえ込むことが可能だと思うが
ある程度人間形成が終わったあとに、これはしてはいけない
と言われると、何故かやらないわけにはいかなくなるもんだ。

「アルラウネは引き抜いて大切にケアすると、
所有者に様々な幸福をもたらしてくれるということでしたね。
未来を予言したり、金貨を増やしたり。――」


「ただアルラウネを引き抜くときは、注意が必要なんですね。
並木さんが教えてくれたところによると、アルラウネは引き抜かれるとき、
凄まじい悲鳴を上げるということでした。
その悲鳴を聞いた者は死んでしまう。――」